「当たり前」の
世界の成り立ちを知ります。
社会の欲するオトナでなく、
社会を作るオトナになるために。
-
- 藤岡達磨 専任講師
- FUJIOKA Tatsuma
- 社会学
「恋愛結婚」、「初詣」、「就職活動」・・・、「当たり前」に思えることは「当たり前」じゃないのかも?
社会は身近にあるがゆえにとても見えにくいものです。しかし、それは決して無色透明でもありません。それぞれの社会の色の彩度や明度の違いについて、自分なりに考える方法を「社会学」は提供してくれます。
私はこんな人!
-
私の専門は社会学で、もともとは消費社会論や理解社会学などを中心に研究していましたが、近年は物質文化論や想像の共同体論などの社会学以外の諸理論にも親しんでいます。また、数年にわたる留学と在外研究の経験から、異文化交流の現場で生じる様々な現象について興味を持っています。具体的には、地方都市における外国人住民たちのライフコースに関する研究や、日本統治地期台湾における生活の変容に関する研究を行っています。異なる文化的な背景を持つ人たちが居合わせるとき、そこではどのような相互理解があり、どんなすれ違いが生じ、そしてどのような妥協を経て、ある形に落ち着くのか。これらをできるだけ当事者の視点を活かしながら読み解くことを目指しています。
フィールドワークや資料を用いた分析と理論的思考の両立は、なかなか容易には達成できません。未だ道半ばというところです。しかし、社会学を用いれば現実をどのように見ることができるか、現実の新しい可能性をどのように探求できるかという視点を忘れずに、研究を続けています。
-
ゼミでは文献の輪読や各自の研究テーマに関する報告などを行いながら、社会学に関する知識と社会を捉える視角について深めていきます。ゼミの形式としては双方向的な議論の時間を重視します。もちろん、各自に報告を準備してきてもらってそれを元に議論を行うこともありますが、その際でも報告者だけでなく全員が議論に参加できるような雰囲気にしたいと思います。
専攻ゼミは、他の場所では問題にならないようなことを真剣に考えることのできる、とても大学らしい場所です。せっかく大学に来て見聞を深めるのですから、ゼミを上手く活用してください。私自身そうでしたが、一人でやれば挫折しそうな難解な社会学古典の読解も、ゼミと言う場が与えられればなんとか出来るものです。また、他の人の報告を聞くことで、これまで考えたこともなかった物の見方に気づくこともできます。ゼミでの議論は、その時、その場所、そのメンバーでないと生まれてこない内容や展開をもっているものです。ぜひ、積極的な参加を期待します。
-
- 景山佳代子 准教授
- KAGEYAMA Kayoko
- 社会学
社会と戯れ、社会を変え、
人生をもっと
豊かにするために
「学問」は存在している。
誰もが当たり前に見過ごしてしまう何気ない日常。そこに自分だけの宝物を見いだせる「目」と「耳」を鍛えるものとして「社会学」を考えていきます。
私はこんな人!
-
専門は社会学で、メディアと社会意識が主な研究領域になります。衣食住性という日常生活の諸相から私たちの社会のありようを考える、「風俗」の視点に注目しています。
何気なく見える日々の生活をキューリアスなものとして観察し、自分たちの「当たり前」を解剖していくことが社会学のおもしろさであり、難しさでもあると思います。
現在は足元の生活から、戦後日本の民主主義や教育という問題を捉え返していくことに関心があります。
-
卒論の作成を重視し、3年生の前期からテーマ探しを始めてもらいます。テーマ選びで大事なことは、本当に自分が時間と労力をかけて知りたいかどうかということです。また卒論だけでなく、月に一度のペースでゼミ生が企画するイベントを実施してもらっています。自分たちの工夫と想像力で、空間を自分たちのものにする。「真剣に遊べる大人」になってほしい、というのがゼミ生への希望であり、期待していることでもあります。
-
- 清水学 教授
- SHIMIZU Manabu
- 社会学・文化理論
社会は謎に満ちている。
自ら探偵になって
答えの出ない
問いにはまろう。
「社会」を何かにたとえてみたら?まるで「動物園」それとも「テーマパーク」?ときに「無人島」ときに「監獄」。そんな社会の織り成す「ドラマ」に自覚的になってみましょう。
私はこんな人!
-
私の関心は、社会学における社会理論や文化理論、とくに文学や芸術、ポップカルチャーを中心に社会や文化を考える現代文化論の領域をめぐっています。さらには、私たちが「知っている」と思っていることの社会的特性を研究する知識社会学や、日本における経験的社会学の前身ともよべる考現学以降の路上観察学的展開などにも興味は広がっています。
具体的には(1)エスノメソドロジー以後の社会理論、(2)表象文化の社会学的研究、が研究課題です。社会を成り立たせている「お約束」や「物語」を詩的なもの(生活の術=アート)ととらえ、文学や芸術の世界にヒントを得ながら分析しています。だから「文学」のなかに「社会」を見つけるというよりも、「社会」がいかに「文学」的にできあがっているかが主たる関心です。これを勝手に「社会の詩学」とよんでいます。
困ったときはいつでも、小説や音楽の世界に助けを求めてきました。どちらかといえば実社会的に「役に立たない」、「むだ」に思える「どうでもよいこと」のほうに関心がありますが、それも社会学特有の「平凡な日常をワンダーランドとしてとらえる」ものの見方の影響です。そしてこうした視線が、この生きにくい社会のなかである種「楽になること」をうみだせるなら、それは文学や芸術の仕事に匹敵しうるものになると考えています。
-
社会学は探偵の作業になぞらえられることがあります。日常のなんの変哲もない、だれもが当然だと思っていることに「謎」を見つけ、それを先人たちの業績に依拠しながら独自の視点で読み解いていくことに主眼があるからでしょうか。
こんな関心をそれぞれのなかに育んでいってもらいたいと思います。そのため、専攻ゼミでは、まず自分自身の関心の在処をさがす、それをゼミ生の前で報告しみんなとコミュニケーションをとる、そして自分のなかで卒業論文へとつながるテーマに仕上げていく、というプロセスを大切にしています。誰がいったか、「卒論はテーマ選びが8割」という言葉があります。各人の視点を大切にする社会学では、とりわけそうでしょう。レールにはめこまれてあせるのでなく、ゆっくり自分のペースで、自分の謎を見つけていくことができればいいと考えています。
-
- 戸江哲理 准教授
- TOE Tetsuri
- 社会学
日々の他愛のない
やりとりを吟味して、
暮らしと生きかたを理解する。
社会はそこにある。
社会は人と人のつながりから成り立っています。そのつながりを生み出しているのは、人と人のやりとりです。家族も学校も会社もやりとりなしには成り立ちません。そのやりとりのしくみを解き明かすことに取り組んでいます。
私はこんな人!
-
数年前に、幼い子どもに対する指図(directives)と指示(references)の研究に着手しました。とくに、その子どもの親ではない人物によるそれらに興味をもっています。前者のほうがとっつきやすいでしょうね。この研究は、「他人の子どもをどう叱るのか」という、私たちがときに直面する問題に連なるものです。主に、私が子育てひろばで進めてきた、十年来のフィールドワークにもとづいています。
また、これも数年前から、多くの研究者たちと協力して、太平洋戦争後の日本人の家族生活にかんする大規模な調査に取り組んでいます。各地に足を運んで、生い立ち、配偶者との出会い、仕事、子育て、それに介護などの話を聞かせてもらうのです。また、そこで協力を申し出てくれた人たちを対象に、普段の暮らしをビデオカメラで収録させてもらうということも進めています。
1つ目の研究もビデオカメラを使ったものなのですが、ビデオデータを集める理由は、日々のふるまいが親子らしさとか夫婦らしさといった、家族らしさをつくり上げているという視座に立つからです。私は、そうやって集めたやりとりのデータを検討して、家族らしさを生み出すやりかたを発見し、それらのしくみを解明することを目指しています。このような研究の取り組みかたをエスノメソドロジー・会話分析といいます。
-
エスノメソドロジー・会話分析のようなやりとりのデータではなくでも、アンケート、インタビュー、各種の資料など、卒業論文は何らかのデータにもとづいて書くように指導しています。
研究領域としては、家族社会学・教育社会学の領域での卒業研究を進めたいと思っている人を広く受け入れています(子どもの社会学は、その2つの研究領域にまたがるものと考えてください)。キーワードを並べてみると、家族・家庭、ライフコース・ライフスタイル、子ども・子育て、そして恋愛・結婚などです。
3回生の段階から卒業論文を見据えてグループ研究を進めています。これまでの研究テーマとしては、「学習雑誌からみる幼い子どもの遊びとジェンダー」、「夫婦の力関係と家庭のルール」、「女子大学生とその母親の関係性」などがありました。
4回生になると、このグループ調査で養った力と得た知識を使って、卒業研究を進めていきます。これまでに、「高校の家庭科教科書に描かれた家族のありかたの変化」、「父親の単身赴任が家族の関係に与える影響」、「子どもが冒険的な遊びができる場所を提供する市民活動の実践」、「公立中学校・高等学校における校則の制定過程」、「コロナ禍が大学生のライフスタイルにもたらしたもの」などといったテーマの論文が書かれてきました。
社会学・メディアをメインに、「何をどう学ぶか」の組み合わせは7種類。
3年次までにやりたいことを見つけましょう。