存在や真理、善や美について根底から考え抜き、
世界と人間の理解を深め、自由と協働を実現するために学びます。
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- 川瀬雅也 教授
- KAWASE Masaya
- 哲学、倫理
哲学・倫理学とは
「生きることを学び直すこと」。
先人の思想をたどりつつ、
自分が生きる意味を見つめ直そう。
私の専門は現代哲学のなかの「現象学」という分野です。現象学の手法を使って、人間が共同体や共同性の中で生きることの意味を、そうした体験に内在的な視点から解明することを目指しています。
私はこんな人!
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私の専門は、現代哲学のなかの「現象学」という分野です。現象学とは、一言で言えば、人間の経験を、「外側」からでなく、「内側」から考察し、その意味を明らかにしようとする学問です。例えば、私たちは、涙を流している友人を見れば、その人がいま経験していることを「外から」見て判断します。しかし、当人が「内的に」経験していることは、必ずしも「外から」判断されたことと同じではないでしょう。現象学は、当人の体験に内在的な視点から事象を考察し、その意味を明らかにしようとするのです。
こう言うと、「そんな主観的なことを研究して何になるの?」と疑問に思うかもしれません。しかし、たとえ「主観的なこと」でも、誰でもが同じようにそれを体験しているのなら、それは「客観的・本質的なこと」にならないでしょうか。現象学は、誰でもが主観的に体験している本質的な事柄を解明して、私たちが世界をいかに生きているかを、その内側から明らかにしようとするのです。
わたし自身は、これまで主に、こうした現象学の展開そのものを研究対象にしてきましたが、最近は、現象学の手法を使って、人間が共同体や共同性の中で生きることの意味を、そうした体験に内在的な視点から解明することを目指しています
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私の専攻ゼミでは哲学・倫理学を研究テーマにしています。しかし、「哲学・倫理学」と言われても、何を学ぶのかピンとこない人も多いでしょう。一言で言えば、哲学・倫理学とは、時代や場所の違いにかかわらず、人間という存在そのものに関して、普遍的に見いだせる事柄を考察するものだと言えます。ですから、人間に関わることのほぼすべてが哲学のテーマになるのですが、哲学・倫理学が他の学問と違うのは、そうしたテーマへのアプローチの仕方だと言えます。重要なポイントは、「時代や場所に限定されない」ということです。選んだテーマを、時代や社会の特性としてではなく、人間性そのものの特性として考察するのが、哲学・倫理学的アプローチなのです。
ゼミの授業では、哲学・倫理学の文献の精読と、内容についてのディスカッションを行っています。また、課題図書を指定して、それを各自で読み、レポートを提出してもらいます。さらに、ゼミ内での研究発表も行っています。
哲学・倫理学は、テーマについての考察が、常に、自分自身についての問い直しを含んでしまう不思議な学問です。その意味で言うと、哲学・倫理学ゼミの最終目標は、これらの学問を通しての自分自身の掘り下げだとも言えるでしょう。
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- 三木順子 教授
- MIKI Junko
- 美学・芸術学
感じ、想像し、行為し、創造する生き物である人間の可能性を、芸術という事象を手掛かりに問うてみよう。
遠い過去や遥かな未来を想うときはもちろんのこと、複雑で多様性に満ちた今を生きることにおいて、すでに、感性や想像力が不可欠です。芸術を、人間の感性と想像力が醸成される「場」ととらえ、その意味を尋ねています。
私はこんな人!
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人間は、言語や概念をとおしてものごとを認識していますが、その一方で、五感を働かせ世界を直に感じてもいます。「感じる」ことは、しかし、五感をとおした直接的な知覚経験に限られているわけではありません。人間は、直接には知覚することができず、本来は与り知ることのできないものを、みずからの内側においてありありとイメージし、自身の経験のなかに刻み込む、豊かな想像力をも有しているのです。私が専門とするのは、五感の知覚から想像力の働きに至るまでの、広い意味での「感性」の役割とその重要性を問う「Aesthetics 美学」と呼ばれる分野です。
研究において重視しているのは、いったいなにが、いかにして、私たちの感性を培い、深め、逞しいものにしてくれるのかです。私は、人間が長い歴史をとおして絶え間なく展開してきた、芸術の創造と享受の営みを、感性が新しい可能性に向かって開かれていくダイナミックな「場」ととらえてきました。近代および現代という時代にアクセントを置き、ドイツ語圏の現象学や解釈学を導きの糸として、美術、デザイン・建築、映像などのさまざまなジャンルの芸術の在りように即しながら、人間の知覚や想像力の来し方と行方を尋ねています。
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美学・芸術学の専攻ゼミでは、
- 芸術の諸ジャンルの個々の作品や作家が、芸術の歴史のなかでもつ意味
- 芸術を展開させるシステム(美術館や劇場やコンサートホールといった制度、展示という営み、パトロンや批評家の活動など)の意義と問題点
- 芸術を生みだし享受する人間の知覚や想像力のあり方とその可能性
を探求します。そのためには、芸術を、たんなる余暇の楽しみや、些末な日常からの一時的な逃避や、日々の生活の疲れを和らげてくれる癒しとみなして満足する、通俗的な芸術観から距離をとり、「いったい芸術とはなになのか」、「なぜ人間は芸術を必要とするのか」を問い直そうとする姿勢が必要となります。
そのような姿勢を共有したうえで、私の専攻ゼミでは、基本的な研究方法を身につけるべく、A)作品の客観的な記述、B)必然性と説得力のある作品解釈、C)文献資料の収集と読解、D)作品および資料の比較や関連付け、などの課題にグループや個人で取り組み、成果の発表と質疑応答を重ねていきます。これと並行して3回生後期からは、卒業研究に向けて各自で対象とテーマを絞り込み、研究の準備を進め、4回生をとおして研究をさらに展開し、論文の形に仕上げていきます。
哲学・倫理学・美学をメインに、「何をどう学ぶか」の組み合わせは7種類。
3年次までにやりたいことを見つけましょう。