50周年

【開催報告】学科開設50周年記念フォーラム「女子大、新時代 ―要不要論をこえて」を開催いたしました

梅雨入りの薄曇りの空の下、名誉教授や同窓生、めぐみ会の方々ならびに一般のみなさまを私たちの学び舎「文学館」にお迎えし、学科開設50周年を記念するフォーラムを開催いたしました。現教職員や在校生も含めて100名余りが集った階段教室は、座談会、対談、トークセッションと形式を変えながら展開する対話の声と熱気で満たされました。時に笑い、時に共感し、時に自問自答しながら、学科の来し方と行方を共に想うかけがえのない時間となりました。

♢当日のプログラムはこちらから♢

■ 座談会

フォーラムは、本学科を巣立ち社会で活躍する3名のOGと、同じくOGである本学科教員との座談会で始まりました。迷いや偶然を受け入れつつ、しかしその一方で、自分と周囲を常に肯定しながら前へと歩んだ学生時代。そこでの経験が、しなやかな感性と力強い知性となってそれぞれの今の仕事において作用しているさまが、三人三様の飾らない言葉をとおして色鮮やかに浮かび上がってきました。本学科のリベラルアーツ教育が、未来においても、OGという「人」を介して社会のなかで生きて働き続けるであろうことを予感させるひとときでした。

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■ 対談

続いて、ゲストにお招きしたコミュニティデザイナーで関西学院大学建築学部教授の山崎亮さんと学科教員が対談しました。住民参加型のワークショップをとおして地域コミュニティの機能を新たに立ち上げ動かしていく独自の活動を、具体例や楽しい比喩を交えながら、専門外の私たちにもわかりやすく語る山崎さんの言葉に、会場全体がみるみる引き込まれていきました。組織を緻密に計画するのではなく、むしろ、予想外の出来事や偶然の成り行きも含み込みながら創造的に膨らんでいく「見えない仕組み」を創る山崎さんの実践は、女子大学を新しいコミュニティとしてリ・デザインするための示唆に富んでいました。終盤には会場から質問も飛び出し、まさに参加型の活気あふれる時と場が展開しました。

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■ トークセッション

最後は、山崎さんと本学科教員の総勢6名でのトークセッションでした。先の座談会と対談で図らずも共通して語られることとなった、「偶然」の出会いや成り行きの重要性に触発され、議論は、そのような偶然性がもたらす「矛盾」をトピックとしてスタートしました。中国の古い昔の政治共同体のねじれた構造や、日本の土着的な地域生活のなかで共有されているつじつまの合わない時間意識、同化せず拮抗し合うもののあいだに生じる動的な均衡の感覚。合理的な秩序に還元されえない矛盾した関係性が、むしろ、ものごとの内部に深みや密度を生みだしていく、その特殊なメカニズムが透かしだされていきました。女子大学が、いかに小さな単一体であろうとも、その内側に緊密さと力動性を孕み、みずからを多様性へとひらいていくコミュニティたりうる可能性が確かに見えてくる、刺激的な議論となりました。

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セッションの最後に、19世紀の美術批評家で社会思想家のJ・ラスキンの言葉 "There is no wealth but life."(人生こそが財産である)が紹介されました。みずからがすでに持っているものを用い、活かし、だれかのために役立てることにこそ生の豊かさがあるというメッセージは、合理的な利便性に拘泥する昨今の「要不要論」をこえて、いま、新たな一歩を踏みだそうとしている私たちへの励ましの声のように聴こえました。ご来場くださり、4時間にわたる対話に耳を傾けてくださったすべての方々に、心から感謝申し上げます。

※本フォーラムについての記事が、6月10日の神戸新聞朝刊に掲載されました。

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